支配

今日も一日虚無だったのですが、TLを見てたら『「支配者」という言葉に【「支」えて「配」る者】と送り仮名を入れると半端なく素晴らしい人になる』と言っている人がいて、ホンマかよいい加減なこと言うなと思ったので『支配』という単語をgoo辞書くんで調べてみました。

まず「支配」の『支』。

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4の「物事をはかる」に『支配』が例示されてますね。「支配」という言葉の『支』は物事をはかる(=物事を推し量って見当をつける)という意味のようです。

 

続いて「支配」の『配』。

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5の「指図が行き渡る」に「支配」が例示されてます。「配」ってそんな意味あるんすね…ただ漠然となにかを配ってるだけではなかったようです。

最後に『支配』そのものの意味。

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これを見るかぎり「支配」という言葉は古くは3の意味、「仕事を配分したり、指揮・監督したりして、部下に仕事をさせること」というところから発しているようです。3の例文「宇治の大臣 (おとど) 、成佐が弟子どもに―して、一日に三尺の地蔵菩薩の像を図絵し」 の出典である「著聞集」は1254年、鎌倉時代中期の説話集。その内容は平安中期から鎌倉初期の日本の説話ということです。言うまでもなく古語のオンパレードです。

例文は「宇治の大臣が弟子に地蔵菩薩の絵を一日に114センチくらい描かせている」くらいの意味でしょうか。シチュが理解出来ないのですが、ともかく宇治の大臣が弟子に命じて絵を描く仕事(修行?)をさせているということらしいですね。

上記の「支」「配」という漢字それぞれの語義もあわせて考えると、「支配」はもともと『(上司、上役など上位の存在が)物事を推し量って見当をつけて、部下に指図が行き渡るようにして、ちゃんと仕事をさせる』くらいの意味だったようです。

こうした意味が転じて現代の『支配』という言葉の意味、すなわち「ある地域や組織に力を及ぼして、自分の意のままに動かせる状態に置くこと」とか「ある要因が人や物事に影響を及ぼして、その考えや行動を束縛すること」というところに移り変わっていったようです。

昔は「ザ・上司のお仕事」と言った感じの意味だったのが「何者かを束縛したり意のままにできる」という意味に転じていった訳です。日本人にとって上司がクソヤバくて絶対的で恐るべき存在である、というのは八百年ちかい時間を経ても伝統的なイメージのようです。流石と言った感じです。どんだけ上司嫌いなんですかね。

ともあれ、パっと調べるかぎりだとこれがそもそもの「支配」という言葉の意味みたいです。

そう考えていくと『支配者』を『「支」えて「配」る者』と解するのは適当ではないようです。

そもそも『支配者』の『支』は「支える」という意味じゃないんですね。「配る」ものも指図とか命令とかに限定されるみたいです。命令や指図を配られてうれしい人、世の中の多数派ではないと思うんですよね、少なくとも。もらったってうれしくないもの配ってるひとを素晴らしい人とはなかなか言いがたいところです。

もっともその人は「支配者」という言葉に『神』というニュアンスを込めているようでした。そういう視点から言うなら、『宇宙、万物の秩序をはかって、その秩序を行き渡らせる(配る)者」くらいの意味なら「支配者=神」という見方は割と適切なんじゃないかなと思います(聖書とか研究したことないのでかなり乱暴な議論ですが)。

そんな感じのことを考えた一日でした。今日もお昼は松屋でした。おわり。

(P.S. ガチでソースがgoo辞書のデジタル大辞泉だけなので、もっと正確な知識のある方がいらっしゃったらお教え頂けると幸いです)