すた PART3
昼にすた丼屋に行ったのに、その日の夜すためしどんどんに入店した私は鬱病夢気分だった。
全く何の感情もなく和風おろしハンバーグ140g830円の食券を購入し、カウンター席に腰を下ろした。
今日もまた、何もない一日だった。
街角のテッシュ配りの兄ちゃんにはことごとくスルーされ、駅を歩けば、制服の女子高生とスキニージーンズのチャラ男が手をつないで歩いているのに出会う。工事現場脇の簡易トイレに入って行くインド人の後ろ姿を見た。立ち寄った本屋には「これ全部捨てた方がい〜んですか〜?!」と言いながらリュックから白い紙ゴミを投げ捨てている五十代のちっちゃいおっさんと、微笑をいっさい崩すこと無く「全部持ち帰って下さい」と言いながら対応をしている警備員。
街。
毎日街を歩いている。
私は探している。
毎日街を歩いていると、自分には街を歩く才能が無いという事実に気づかされる。
見つけることができないのだ。
早くそこへ帰りたいのに。
和風ハンバーグが出てくる。
割り箸を割る。
失敗してだいぶ歪に割れる。
プラスチックのような味の、付け合わせの固いブロッコリーを齧る。
ブロッコリーの隣にはコーンが盛られている。
箸で攻めるにはキツい。だったらなぜ最初から割り箸でなく、その横に置いてあるナイフとフォークを選ばなかったのか。
取り返しの付かないことをしてしまった。
そして後に残されたのは、150gの心躍らない肉の塊。
これは代替品でしかない。
これは“本質”ではない。
そうこうしている私の後ろの席に、女連れのチャラ男がやって来た。
すためしどんどんに女を連れてくるな。
私は帰りたい。
“本質”のあるところへ。
割り箸にも、固すぎるブロッコリーにも、掬いづらいコーンにも悩まされることの無い
聖地、びっくりドンキーへ。
レギュラーバーグディッシュ150g、783カロリー。
その地において人びとは、668円(税込721円)で天国に行くことができる。
すためしどんどん全部潰して速やかに全店舗びっくりドンキーにしたほうがいい。
(びっくりドンキーに女連れがいるのはまだなんとなく納得出来るが、それはそうとしてすためしどんどんに女連れで来るのは本当にまったく納得がいかない。そう訴えたい)
以上です すためしどんどん最高!